歯石を取らないと、歯を失う?
2021.01.21更新
歯石を取らないと、歯を失う?
【歯石ってそもそも何?】
歯石の原因はプラーク(歯垢)です。
白くネバネバしたプラークは、単なる食べかすではなく細菌の塊。
そして、プラークが放置されると、だ液に含まれるリン酸やカルシウムが沈着し、石灰化して固くなります。 これが歯石です。
歯石には「白い歯石」と「黒い歯石」があります。
歯ぐきから上の部分についた歯石(歯肉縁上歯石)は白っぽく見えますが、歯ぐきから下にできる歯石(歯肉縁下歯石)は血液と混ざったり、細菌の色素の影響で、黒っぽくなります。
【放置すると歯が抜ける?】
歯石は表面がざらざらしており、さらなる細菌の温床となります。
そして、この細菌が「歯ぐきの炎症」を引き起こします。
さらに細菌は、歯石を増やしながらどんどん歯ぐきの下に入り込んでいきます。
やがては歯を支えている骨に到達し、その骨を溶かし始めます。
すると歯がグラグラになって最後には抜けてしまうのです。
これこそが、みなさんもご存知の「歯周病」の正体です。
実は、歯石を取り除くことは、単なる「お掃除」ではなく、歯周病を治療・予防するための、もっとも基本的で重要な「治療」なのです。
【歯をまもるには定期的な歯石除去を!】
セルフケアをしっかりしているつもりでも、完全にプラークを取り除くことは難しく、最短2日程度で歯石になってしまうことも。
また、歯石はご自身でとることはできないため、必ず歯科で除去する必要があります。
自分でとろうとすると、歯ぐきを傷つけてしまったり、細菌が広がってしまい疾患の原因となりますので、定期的にご来院いただくことをおすすめいたします。
歯周病だけでなく、むし歯も早期に発見できれば、それだけ歯の寿命を長くすることができます。
今年からの新習慣として、定期的な歯石除去とお口のチェックを加えてみてはいかがでしょうか?
ご高齢の方はもちろん、年齢に関わらず小さなお子様にも歯石は付着します。
ぜひご家族の皆さまそろってのご来院を、心よりお待ちしております。
【歯周病は認知症のリスクを高める!】
九州大学などの研究により、「歯周病が認知症を引き起こす仕組み」について解明されたことが、昨年10月にニュースなどで話題となりました。
これまでも疫学的な調査等によって「歯周病菌が口から血流に入り込み、脳に影響を及ぼして認知症のリスクを高める」ことが知られていましたが (2倍にもなるという結果も)、今回はその仕組みが解明され、改めてその関係が裏付けられたことになります。
認知症のおよそ半数を占める「アルツハイマー型」の原因は、アミロイドベータと呼ばれるタンパク質が、脳に蓄積することで発症します。
今回、マウスを使った実験により、アミロイドベータを脳内に運ぶ「受容体」が歯周病菌によって2倍に増えること、その結果アミロイドベータの蓄積量が10倍になることがわかりました。
今回の実験により、認知症の薬の開発が進むとされています。
しかし、今からできることは、歯周病を治療し、さらに左のページにあるように、定期的な来院で「歯周病菌の温床」となっている「歯石」をしっかりとることです。
さらに歯周病は、脳卒中・心臓病・誤嚥(えん)性肺炎・糖尿病など、さまざまな病気に影響を及ぼすことがわかっています。
お口のためだけでなく、健康で長生きをするためにも、定期的なお口のケアはもはや欠かすことのできない習慣です。
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